マイグレーション試験機専門メディア » 導入事例から学ぶ!マイグレーション試験機活用の成功事例集 » 自動車におけるイオンマイグレーション対策と評価手法

自動車におけるイオンマイグレーション対策と評価手法

車載電子機器の高密度化と長期使用が進む中、イオンマイグレーションによる微小な腐食が、思わぬ誤作動や短絡を引き起こすケースが増えています。
この記事では、車載環境における発生要因や故障リスク、信頼性評価の試験方法、そして設計段階での対策ポイントまでを詳しく解説しています。

マイグレーション試験を
依頼できるおすすめ会社2選
今すぐ見る

自動車におけるイオンマイグレーション
とは?課題と重要性を解説

イオンマイグレーションの概要

湿度や微量のイオン成分が存在する環境では、金属がわずかに溶け出し、電界の影響を受けて移動し、再び析出する現象が起こります。この繰り返しによって金属の「樹枝」が伸びていき、最終的に電極間をつないでしまうのがイオンマイグレーションです。
基板の微細化や電極間のクリアランス縮小が進むなか、こうした現象が数日〜数週間のうちに進行するケースも見られます。目視では確認しづらいため、兆候を見逃さない体制づくりが重要です。

車載電子機器でのリスク

車載電子機器は、エンジンルームの熱や結露、高湿度、塩害など、イオンマイグレーションの進行条件が揃いやすい環境にあります。接点間が短い設計ほどリスクは高く、わずかな水分や汚れが引き金となる場合も少なくありません。
たとえば、パワーウィンドウスイッチの基板に飲料水が混入し、電極間で銅樹枝が成長。誤作動を起こしたというケースが報告されています。見えない腐食は、気づかぬうちに機能の信頼性をむしばみます。部品配置や被膜処理、定期的な耐湿試験の導入は欠かせません。

車載環境でのイオンマイグレーション発生要因と影響

過酷な環境が進行を早める

車載機器は、日常的に厳しい環境にさらされています。そのため、たとえばエンジンルームの高温、夜間の冷却による結露、湿気の滞留、さらには高電圧印加などの要素が重なれば、イオンマイグレーションの進行は加速します。
特に温度サイクルが繰り返されると、基板上の微小な水分が移動しやすくなり、樹枝状の金属析出が成長。内部の状態は目に見えませんが、気づかないうちに腐食が進んでいるケースもあります。

作動や短絡につながるリスク

イオンマイグレーションが進行すると、電極間が金属樹枝でつながれ、予期しない電流経路が生まれます。これにより、ECUの誤動作やセンサーの短絡が発生し、車両制御に影響を及ぼす可能性があります。
車両制御に影響が生じれば、たとえば速度センサーの誤信号やブレーキ系統の異常警告など、運転者にとって重大なトラブルに直結しかねません。小さな腐食が引き起こす影響は想像以上に大きく、見過ごされがちなリスクとして蓄積していきます。

自動車分野におけるイオンマイグレーション試験・評価手法

高温多湿での耐久評価

イオンマイグレーションは、湿度と温度が高いほど進行しやすくなります。その特性を踏まえ、車載機器では「85℃/85%RH試験」や「HAST(高加速寿命試験)」といった高温多湿条件下での評価が行われます。
これらの試験では、まず「金属が溶解し、移動し、析出する」という一連の変化を短期間で再現することができます。その過程を観察することで、イオンマイグレーションがどのように進行するかを把握できるため、製品の信頼性を早期に見極める手がかりとなります。
たとえば、リーク電流の増加や樹枝状の析出物が確認されれば、内部で腐食が進んでいる可能性があるでしょう。こうした現象を初期段階で検出することは、設計や部品選定におけるリスク回避につながります。

車載部品の信頼性規格とは

イオンマイグレーションの試験には、「ちゃんと壊れないで機能するか」を測るためのルールがあります。たとえば「AEC-Q200」といった車載部品向けの信頼性規格では、あらかじめ決められた条件下で電流が漏れ出さないか、絶縁が保たれているか、といった点をチェックします。
ただし、規格の内容だけを守っていれば安心というわけではありません。材料の吸湿性や、電極の距離、コーティングのタイプ等々、設計の細かい部分も一緒に見ておかなければ、実際の環境では想定外の不具合が起きるかもしれません。数字と現場の両方を行き来しながら判断していく視点が求められます。

車載電子機器でのイオンマイグレーション対策と設計ポイント

湿気を遮るコーティング対策

イオンマイグレーションの主な原因は、水分と電圧。つまり、「湿気を遮断できれば、リスクを大幅に減らすことができる」ということです。
そこで用いられるのが、防湿コーティングや封止処理。たとえば基板全体を樹脂で覆ったり、隙間をシーリング材で塞いだりすることで、空気中の湿気が内部へ入りにくい構造にします。
ただし、コーティングすれば絶対安心というわけではありません。塗りムラや密着不良があれば、逆に水分をため込んでしまうこともあります。対策の「つもり」が、逆にリスクになることもあるため、施工の精度や材料選びも含めて考えることが大切です。

基板レイアウトと材料の工夫

湿気を防ぐには、基板そのものの「設計のしかた」も重要です。たとえば、電極と電極のあいだにしっかりと距離をとっておけば、金属樹枝が届きにくくなります。あるいは、使われる材料が湿気を吸いにくい性質を持っていれば、それだけでマイグレーションの進行を抑えることができます。
つまり、部品をどう配置するか、どの材料を選ぶかという「設計段階の選択」が後から効いてくる、というわけです。細かいところですが、長期信頼性を考えるうえでは見逃せないポイントです。

対象物に合わせて選べる
マイグレーション試験受託会社
おすすめ2社を紹介

まとめ

イオンマイグレーションは、目に見えない水分や微細な設計要素によって静かに進行し、重大な車載トラブルにつながるリスクをはらんでいます。だからこそ、評価試験と設計対策の両面から丁寧に向き合うことが大切です。
ページ下部では、これら試験に対応した「マイグレーション試験機2選」をご紹介していますので、機器選定の参考としてぜひご覧ください。

マイグレーション試験機は印加電圧で選ぶ|
おすすめ2選と選定の考え方

イオンマイグレーションは、車載電子機器のように過酷な環境下で使用される回路にとって故障リスクを高める大きな要因です。設計段階での対策はもちろん重要ですが、実使用環境を模した信頼性試験によって検証することも同じくらい重要です。

試験対象によって求められる印加電圧の条件は大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品では数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧評価が欠かせません。

当サイトでは、低電圧試験に強みを持つIMVの試験機/平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせと、高電圧試験に強みを持つESPECの試験機/試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。

印加電圧の大きさ別
マイグレーション試験機2選

対象物から選ぶ
マイグレーション試験を受託依頼できる
おすすめメーカー2選

印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

狭ピッチのプリント基板
絶縁フィルム・コーティング材
はんだ
めっき・フラックスの残渣
微細パターンのガラス
など
IMV
絶縁劣化評価試験器(IMV)

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

絶縁劣化評価試験システム
IMV
引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/
                           
印加電圧設定 1.0V~250V
試験所数 日本国内7・海外3拠点
誤差の影響が大きい低電圧でも、
正確な試験が可能
リアルタイムで測定物の電圧を検知・自動補正し、意図した通りの負荷を実現。そのため信頼性の高い試験結果を提供可能。
湿度環境を試験室外で生成し供給する方式を採用。外部環境の影響を受けにくく、設定湿度で安定した試験が可能。
EV/HV車向けパワーデバイス(IGBT)
車載用ECU
高電圧センサ基板
ワイヤハーネス
端子
など
ESPEC
ESPEC

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

高電圧絶縁抵抗評価システム
ESPEC
引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/
                           
印加電圧設定 2.5kV
試験所数 国内6拠点
高電圧のオーバーシュートを抑え、
安全に試験可能
高電圧試験での絶縁破壊や誤判定を防ぐ「ストレス電圧制御機能」により、オーバーシュートを抑え、滑らかな電圧立ち上げで信頼性の高い結果を実現。
扉の締め忘れや異常時の電圧印加を自動で中断するなど、安全機能を搭載。同一メーカー製だからこそ、試験機と連動した安全設計の相談も可能。
対象物から選ぶ!マイグレーション試験を
受託依頼できる
おすすめメーカー2選
対象物から選ぶ!
マイグレーション試験を受託依頼できる
おすすめメーカー2選