HAST装置は、評価対象・試験条件に合った性能を持つマシンの選定が重要です。初期導入コストとランニングコストのバランスを見極めることも欠かせません。
HAST装置とは、実際の使用環境よりも厳しい高温・高湿・加圧条件を再現し、製品の劣化や故障を加速的に引き起こすための環境試験機です。
HAST装置を使えば、相対湿度85%前後の不飽和蒸気環境下で直流バイアス(通電)を印加でき、長期使用時に発生しうる劣化・故障を、設計・材料選定、製造工程改善に役立つ定量データとして把握できます。
HAST装置は、信頼性評価分野において多くのメーカーから提供されています。主な国内メーカーとしては、平山製作所とエスペックが挙げられます。
二槽式HAST装置を製造・販売しており、IMV社のマイグレーション試験においても平山製作所のHAST装置が採用されています。
代表的なマシンは、省スペース設計の「PC-242HSR2(二槽式HAST装置)」、カラータッチパネルを搭載した多機能モデル「PC-R8/PC-R9シリーズ(二槽式HAST装置)」。加速試験によって得られるデータは再現性・信頼性に優れており、JEDECやIECといった国際規格にも対応しやすい構成となっています。また、自社開発の専用ソフトウェアを搭載しているため、計測データを他の評価に活かすといったスムーズな連携も可能です。
HAST装置として「EHSシリーズ(HAST CHAMBER)」を展開しており、卓上型から据置型まで幅広く揃えています。温度142℃/湿度85%RH(0.196MPa)から、最大で162℃/75%RH(0.392MPa)までの試験環境を再現できるモデルも用意されており、さまざまな試験条件に対応可能です。さらに、同シリーズでは不飽和制御・乾湿球制御・飽和制御の3つの制御モードを搭載しており、試料の結露を防ぐ機能や、過昇圧を防止する安全機構も標準装備されています。
HAST(高加速寿命試験)装置の価格や導入コストは、装置の性能、容量、制御精度、搭載オプションなどによって大きく変動します。ここでは、代表的な装置タイプ別の価格帯と導入コストを紹介します。
比較的小規模な試験に適したコンパクトタイプのモデルは、数百万円台から導入が可能です。主に研究機関や中小企業での使用を想定しており、基本的な温湿度・加圧制御機能と、単一チャネルの測定機能を備えています。
大量の試料処理や複数チャネルでの同時測定が必要なケースでは、装置の内容積や制御機能が強化された中〜大型モデルが用いられます。半導体パッケージや車載電子部品のように厳しい評価条件に対応可能な制御性能や耐久性を備えており、価格は数千万円規模に達することもあります。
装置本体の価格に加え、以下のような周辺コストも導入時に考慮する必要があります。
実際の導入コストは装置の仕様や評価目的に応じて大きく変動します。特に長期運用を想定する場合は、定期メンテナンスや校正体制まで含めたランニングコストも視野に入れることが重要です。
HAST装置の選定は、「何を評価したいか」「目的にあった試験条件に対応できるか」「どこまで自動化・記録したいか」を軸に検討することが重要です。事前の仕様整理を通じて、自社の目的に適した装置を導入することで、信頼性評価の精度と効率が大きく向上します。
| 項目 | 検討ポイント |
|---|---|
| ① 評価対象・試験条件 | ・評価する製品(IC、基板、モジュールなど)に適合する内容積と機能があるか ・試験温度・湿度・圧力・バイアス条件に対応できるか |
| ② 測定精度・機能 | ・絶縁抵抗(GΩオーダー)や微小電流(nA以下)を高精度で測定できるか ・高速サンプリング・連続モニタリング機能があるか |
| ③ データ処理機能 | ・専用のデータ収集・解析ソフトが搭載されているか ・操作性・レポート作成機能が充実しているか |
| ④ 信頼性・サポート体制 | ・メーカーの実績や装置の信頼性 ・保守契約、技術サポート、校正サービスなど長期運用の安心感 |
| ⑤ 導入・運用コスト | ・装置価格に加え、設置費、初期校正、操作トレーニング、ソフトウェア費用などの総合的な導入費用 ・メンテナンス・校正費などのランニングコスト |
HAST(Highly Accelerated Stress Test)とPCT(プレッシャークッカー試験)は、いずれも高温・高湿・加圧環境を用いて電子部品の劣化を加速させる信頼性評価試験です。しかし、それぞれの目的・試験条件・評価対象には明確な違いがあります。
| 項目 | HAST(高加速寿命試験) | PCT(プレッシャークッカー試験) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 電気的劣化(絶縁破壊、腐食、マイグレーション)の評価 | 吸湿による物理的劣化(膨張、クラック、剥離)の評価 |
| 湿度条件 | 不飽和蒸気(85%RH前後) | 飽和蒸気(約100%RH) |
| 通電の有無 | あり(バイアス印加) | なし(無通電) |
| 評価対象例 | 半導体パッケージ、実装基板 | 樹脂封止部品、パッケージ材料、接着剤など |
| 代表規格 | JEDEC JESD22-A110/A118、IEC 60068-2-66 | JEDEC JESD22-A102、JIS C 60068-2-66 |
HAST試験はマイグレーション評価に用いられる試験の一つで、温度100度以上、湿度90%以上のように過酷な環境下で製品の耐性を短時間で評価するために用いられます。微細な変化を正しく読み取るには、条件設定の根拠を明確にするとともに、適切なモニタリングを継続することが不可欠です。
HAST試験(高加速寿命試験)の手順と注意点について
詳細を知る
空気を含んだ高温高湿環境で劣化を加速させるAir-HAST試験は、湿気だけでなく酸素の影響も評価したい場合に適しています。HAST試験と比較して、より実際の使用環境に近づけたうえで評価できる点が特徴です。
半導体や電子部品などの耐久性・信頼性を調べる試験には、高温・高湿・高圧の環境下で実施されるHAST試験と標準規格に沿って行われるTHB試験があります。HAST試験の特徴は、THB試験では通常1,000時間かかる時間を100時間程度に短縮できる点です。
HAST試験には、電圧を印加して腐食や短絡を評価する「BHAST(バイアス印加高加速ストレス試験)」と電圧を加えずに吸湿劣化の状態を見る「UHAST(非バイアス高加速ストレス試験)」があります。試験対象のデバイスの特性に合わせて、片方または両方試験を実施することが必要です。
HAST試験では、半導体チップを検査装置に接続して正しく検査するためにテストソケットと呼ばれる器具が用いられます。テストソケットも高温・高湿・加圧環境下に置かれるため、耐久性や耐熱性、接続性が必要です。
HAST試験では、半導体チップなどを評価するために試験装置を用います。試験装置の定期的な点検・修理・校正を行うことが必要です。メンテナンスによって検査品質を一定の水準に保持し、校正記録を次回に活かすことができます。
HAST試験に使われる装置には、チャンバーのみの一槽式と、ボイラー・チャンバーが独立した二槽式があります。精密な温度や湿度の制御が必要になる場合は、結露が発生しやすい一槽式よりも二槽式が適しているケースが多いとされています。
HAST試験では、大型の部品を投入するための大型試験装置を用いる場合があります。チャンバー内で基板を立てて並べたり、一度に大量のチップを試験したりと、従来サイズの試験装置では難しい多様な試験が、効率的に行えます。
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |