Air-HAST試験は、実環境との相関性を維持しながら、湿気と酸素の影響を同時に受けやすい電子部品などの劣化を短時間で評価できる試験手法です。
ここでは、Air-HAST試験の概要や事例、HAST試験との違いについて解説します。
Air-HAST試験とは、空気を含んだ状態で試料を高温・高湿環境にさらし、温度・湿度・圧力・酸素の影響を同時に与えることで、電子部品などの劣化状態を評価する試験です。
従来のHAST試験とは異なり、空気を残すことで実際の使用環境により近い条件を再現できます。
Air-HAST試験は試料内部への水分浸入を加速させ、長期使用時に想定される不具合を短期間で確認するために実施されます。圧力を高める過程で槽内の空気を排出する一般的なHAST試験とは異なり、槽内に酸素を残したまま試験を行う点が特徴です。
これにより、水分だけではなく酸素の影響も同時に加わり、腐食や絶縁劣化などの進行状況をより厳しい条件下で確認できます。
試験により試料表面の酸化を早められる点が特徴です。
金属部品やめっき表面は、湿気だけではなく酸素によっても酸化や腐食が進行します。Air-HAST試験では空気を含んだ環境で高温・高湿のストレスを加える試験が可能です。
また、酸化と湿気が同時に作用する環境では金属や合金の表面から髭状に成長する結晶である「ウィスカ」が発生しやすく、短期間でウィスカ発生の兆候を確認できます。
使用されるのは、温度・湿度・圧力を精密に制御できる専用の試験装置です。基本構造はHAST試験装置と似ているものの、空気を適切に残すために必要な制御機構が備わっています。
通常のHAST試験では槽内の空気を排出し、高温・高湿・圧力による劣化を評価します。しかし、酸素の影響がほとんど含まれないことから実際の使用環境とは異なるのが一般的です。
Air-HASTでは空気を槽内に残したまま試験を行うため、実際の使用条件に近い環境で評価できます。
HASTは部品の中に水分が入り込む影響を調べる試験で、空気の影響はほとんど考慮されません。Air-HASTは空気を残した状態で試験を行い、湿気と酸素の両方による劣化を確認できます。
水分だけではなく空気による劣化の可能性があるかによって、HAST試験またはAir-HAST試験のうち、適切な方を選択することになります。
鉛フリー化で懸念されるウィスカ評価のために、恒温恒湿試験、HAST、Air-HASTを比較した実験です。HASTでは発生が確認されなかったウィスカが、Air-HASTでは短時間で観察されています。
この結果から、Air-HASTを用いることでウィスカ評価を短期間で行える可能性があることがわかりました。
太陽電池モジュールの長期信頼性評価で課題となるのが、試験にかかる時間です。高温高湿試験、HAST、Air-HASTを比較したところ、Air-HASTは短時間で発電性能の変化や外観の変化が確認されました。
Air-HAST試験は、温度・湿度・圧力のほか、酸素の影響が想定される劣化現象の評価に用いられている試験です。HASTとの違いを理解したうえで適した試験を行う必要があります。
以下の関連記事ではマイグレーション試験を行ううえで押さえておきたいポイントを紹介しているので、こちらもご覧ください。
フィードバック機能で実際のサンプル電圧をリアルタイム補正し、設定値と実際の印加電圧のズレを最小化します。
絶縁抵抗10⁵〜10¹⁴Ωまでカバーし、微小なリーク電流も正確に検出して信頼性の高い評価を実現します。
100°C超+高圧環境を作れるHAST装置との連携で、過酷条件を再現し、通常の何分の一もの時間で評価が可能です。
PC1台で最大256chまで拡張可能で、複数サンプルの一括試験による効率化と比較評価が容易になります。
たとえば、通常1,000時間かかる耐久評価を500時間以下に短縮可能。開発スピードを加速させ、思わぬ故障も未然に防ぎます。
また平山製作所のHAST装置の高絶縁抵抗を測定するための対策(特殊カバーやノイズ 対策)が、IMVの試験機が持つ高精度な測定性能を最大限に活かし、マイグレーションによる微小なリーク電流も正確に検出できるようになります。
※下記図は一例です。

| 項目 | 当社 IMV(+平山製HAST) |
他社 |
|---|---|---|
| 電圧精度 | 印加電圧の設定後、測定時にリアルタイム補正 | 印加電圧の設定のみ |
| 湿度制御 | 外部生成→内部供給で安定 (試験槽外に蒸気発生層があるため温度湿度分布が良い) | 試験槽内に装置がある場合、ばらつき大 |
| 測定スピード | 1秒未満の高速サンプリング | 数分単位の測定の場合、劣化の瞬間を捉えにくい |
| 多チャンネル対応 | PC1台あたり最大256ch | モデルによる制限 |
HASTとPCTの違いを理解することで、どの試験を使うべきかという判断の精度は格段に上がります。しかし、実際の評価においては「どの製品にどちらが適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定の視点が重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。
HASTとPCTの違いを理解することで、どの試験を使うべきかという判断の精度は格段に上がります。あわせて当然ですが、実際の評価においては「どの製品にどちらが適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定も重要です。
「自社の製品にとって、どんな試験をどんな装置で実施すればよいのか?」という具体的な検討をされていませんか?
マイグレーション試験では、試験対象によって求められる印加電圧の条件が大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品などでは数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧に対応した耐圧評価をする必要があります。
このような背景から、当サイトでは試験機の選定において「印加電圧の大きさ」を判断軸としてマイグレーション試験と試験槽をご紹介しています。具体的には、低電圧試験に強みを持つ、IMVの試験機と平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせ、また高電圧に強みを持つESPECの試験機と試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。
現在、マイグレーション試験機の導入・検討をされている方は、ぜひ当サイトのトップページ(下記リンク先)をチェックしてみてください。なお各社は受託試験も行っているため、導入前にまずは受託試験サービスを試してから検討することも可能です。
最適なマイグレーション試験機・試験槽を見つけるヒントに!
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |