電子部品や精密機器は、使用環境におけるさまざまな要因によって、時間の経過とともに劣化が進行します。HAST試験は、短期間で厳しい環境に製品をさらし、将来的に想定される劣化や不具合の傾向を早期に確認するための試験です。
ここでは、HAST試験の手順と、実施時に注意すべきポイントについて解説します。
HAST試験ではサンプルそのものの状態管理が試験結果を大きく左右することから、適切なサンプルの管理と前提条件のすり合わせが欠かせません。サンプルの取り扱いや保管状況によって試験結果が変動する恐れがあるため、試験開始前の保管方法や操作手順を統一しておくことが大切です。
HAST試験では、高温・高湿・加圧環境下で、製品に負荷をかけます。一般的に、温度は100℃以上、湿度は90%以上といった条件に設定するケースが多く見られます。
このように厳しい環境にさらすことで、通常の使用環境では長期間かかる劣化や不具合を、短期間で再現・確認することが可能になります。
試験中は継続的に温湿度や圧力が安定しているかの確認が必要です。モニタリング中は試験機の自動管理に任せきりにせず、温度・湿度・圧力が設定値から外れていないかをリアルタイムで確認することが大切です。
継続的なモニタリングを行うことで、万が一のセンサー異常や予期せぬトラブルが発生した場合でも、異常の兆候を早期に察知し、迅速に対応できるようになります。
試験終了後は、得られたデータをもとに製品の状態を評価します。評価を行う際には、外観の変化に加え、試験目的に応じて電気的特性や絶縁性能の変化も確認することが求められます。
試験終了時点で異常が発生しているかどうかだけでなく、どの条件でどういった変化が起こったのかを確認します。
評価の精度を高めるには、サンプルの選定から条件設定、試験中の管理に至るまで、各段階を正確に行う必要があります。
HAST試験では、サンプルの状態が結果に影響を及ぼす可能性があるため、複数のサンプルを用いる場合はすべて同条件で試験できるように調整しておくことが大切です。配置や向きも揃えて設定する必要があります。
なお、少数のサンプルよりも複数のサンプルを用意することで、データのばらつきを確認しやすくなります。
実使用環境とかけ離れた高温・高湿・加圧条件を設定した場合、得られる結果が適切な評価に結びつかないことがあります。場合によっては実際には発生する可能性がほぼない異常が起こり、実際には不要な対応が発生するリスクもあります。
そのため、過去の不具合事例や想定使用環境を踏まえたうえで想定される範囲内の条件を設定することが大切です。
すべて装置任せにすると、何か不具合が生じた際に正しいデータが取得できず、試験後に再試験が必要となることがあります。試験を一からやり直すと時間や手間がかかるため、モニタリング不足には注意が必要です。
試験後にデータ解析をした際に大きな数値の変化が見られることもありますが、適切にモニタリングすることでその変化が一時的な条件変動によるものなのかなども判断しやすくなります。
HAST試験では、マイグレーション評価の信頼性を高めるためにも各工程を丁寧に進めることが欠かせません。
マイグレーション試験機を正しく使いこなすためのポイントや、その他の試験については以下で紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。
フィードバック機能で実際のサンプル電圧をリアルタイム補正し、設定値と実際の印加電圧のズレを最小化します。
絶縁抵抗10⁵〜10¹⁴Ωまでカバーし、微小なリーク電流も正確に検出して信頼性の高い評価を実現します。
100°C超+高圧環境を作れるHAST装置との連携で、過酷条件を再現し、通常の何分の一もの時間で評価が可能です。
PC1台で最大256chまで拡張可能で、複数サンプルの一括試験による効率化と比較評価が容易になります。
たとえば、通常1,000時間かかる耐久評価を500時間以下に短縮可能。開発スピードを加速させ、思わぬ故障も未然に防ぎます。
また平山製作所のHAST装置の高絶縁抵抗を測定するための対策(特殊カバーやノイズ 対策)が、IMVの試験機が持つ高精度な測定性能を最大限に活かし、マイグレーションによる微小なリーク電流も正確に検出できるようになります。
※下記図は一例です。

| 項目 | 当社 IMV(+平山製HAST) |
他社 |
|---|---|---|
| 電圧精度 | 印加電圧の設定後、測定時にリアルタイム補正 | 印加電圧の設定のみ |
| 湿度制御 | 外部生成→内部供給で安定 (試験槽外に蒸気発生層があるため温度湿度分布が良い) | 試験槽内に装置がある場合、ばらつき大 |
| 測定スピード | 1秒未満の高速サンプリング | 数分単位の測定の場合、劣化の瞬間を捉えにくい |
| 多チャンネル対応 | PC1台あたり最大256ch | モデルによる制限 |
HASTとPCTの違いを理解することで、どの試験を使うべきかという判断の精度は格段に上がります。しかし、実際の評価においては「どの製品にどちらが適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定の視点が重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。
HASTとPCTの違いを理解することで、どの試験を使うべきかという判断の精度は格段に上がります。あわせて当然ですが、実際の評価においては「どの製品にどちらが適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定も重要です。
「自社の製品にとって、どんな試験をどんな装置で実施すればよいのか?」という具体的な検討をされていませんか?
マイグレーション試験では、試験対象によって求められる印加電圧の条件が大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品などでは数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧に対応した耐圧評価をする必要があります。
このような背景から、当サイトでは試験機の選定において「印加電圧の大きさ」を判断軸としてマイグレーション試験と試験槽をご紹介しています。具体的には、低電圧試験に強みを持つ、IMVの試験機と平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせ、また高電圧に強みを持つESPECの試験機と試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。
現在、マイグレーション試験機の導入・検討をされている方は、ぜひ当サイトのトップページ(下記リンク先)をチェックしてみてください。なお各社は受託試験も行っているため、導入前にまずは受託試験サービスを試してから検討することも可能です。
最適なマイグレーション試験機・試験槽を見つけるヒントに!
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |