HAST試験と85℃85%RH試験のどちらも加速寿命試験ですが、どのように使い分けたら良いのでしょうか。ここでは、HAST試験と85℃85%RH試験の違いを解説します。
HAST試験は、高温・高湿環境で圧力をかけ、評価対象の劣化を加速して故障リスクを評価する試験です。「High Accelerated Stress Test」の頭文字をとった略語で、日本語では高加速寿命試験と呼ばれています。
HAST試験は、樹脂封止ICや半導体デバイスの高温・高湿下における耐久性評価、故障モードの検出などに用いられています。温度105度以上と湿度75%RH以上の環境で評価対象に圧力をかけ、内部に水分が侵入する時間を短縮し、劣化を加速します。水分の侵入を早めることで、通常の使用では数年かかるような劣化を短期間で再現できるのが特徴です。
HAST試験は、温度と湿度、圧力を調整する専用装置を用いて実施します。試験条件は対象物によって異なりますが、温度は110~130度程度、湿度は85%RH程度、圧力は2気圧程度に設定することが一般的です。試験条件に合わせて環境を整えたチャンバー内に、評価対象を均等に配置して試験を開始します。
試験時間も対象物により変化しますが、24~96時間程度が目安です。試験の対象物や目的によって、通電状態で試験を実施します。
85℃85%RH試験は、温度85度と湿度85%RHの環境に評価対象を置いて、故障のメカニズムを加速する試験です。ダブル85テストとも呼ばれます。
短期間で、製品の信頼性を評価するために用いられています。温度85度と湿度85%RHの条件下では、水分の侵入や金属の腐食、絶縁の劣化などが早く進行します。
評価対象となる製品例は、以下の通りです。
実際の使用環境に近い条件で試験を実施し、起こり得る自然な劣化や故障を評価できる点が特徴です。
85℃85%RH試験では、温度85度と湿度85%RHの環境に制御できる専用装置を用います。チャンバー内に評価対象を配置します。空気の流れを妨げたり、積み重ねたりしないように配置する点がポイントです。電源を接続し、通電テストを行うこともあります。
試験時間の目安は、500~1,000時間程度です。
加圧の有無によって劣化の速度が変化するため、試験時間に違いがあります。HAST試験では、加圧によって水分が内部へ侵入しやすくなり、劣化の速度が速くなります。一方で、85℃85%RH試験では、大気圧下で試験を行い、長期間の耐湿性や信頼性を評価します。
それぞれの試験時間の目安は、次の通りです。
| 試験方法 | 試験時間の目安 |
|---|---|
| HAST試験 | 24~96時間程度 |
| 85℃85%RH試験 | 500~1,000時間程度 |
HAST試験は主として開発段階のスクリーニングに、85℃85%RH試験は主として使用環境に近い条件で評価したいケースに適しています。
高温・高湿環境下で評価対象に圧力をかけるHAST試験は、製品の耐久性や故障を短期間で調べたいときに用いられています。85℃85%RH試験は、高温・高湿環境下で劣化を促しながらも、実際の使用環境下における変化をシミュレーションする試験です。よく似た特徴を備えていますが、試験の目的や時間は異なります。違いを把握したうえで、正しく使い分けることが重要です。
当サイトでは、HAST試験に関する情報やマイグレーション試験機の活用事例などをまとめていますので、以下の記事もぜひご覧ください。
フィードバック機能で実際のサンプル電圧をリアルタイム補正し、設定値と実際の印加電圧のズレを最小化します。
絶縁抵抗10⁵〜10¹⁴Ωまでカバーし、微小なリーク電流も正確に検出して信頼性の高い評価を実現します。
100°C超+高圧環境を作れるHAST装置との連携で、過酷条件を再現し、通常の何分の一もの時間で評価が可能です。
PC1台で最大256chまで拡張可能で、複数サンプルの一括試験による効率化と比較評価が容易になります。
たとえば、通常1,000時間かかる耐久評価を500時間以下に短縮可能。開発スピードを加速させ、思わぬ故障も未然に防ぎます。
また平山製作所のHAST装置の高絶縁抵抗を測定するための対策(特殊カバーやノイズ 対策)が、IMVの試験機が持つ高精度な測定性能を最大限に活かし、マイグレーションによる微小なリーク電流も正確に検出できるようになります。
※下記図は一例です。

| 項目 | 当社 IMV(+平山製HAST) |
他社 |
|---|---|---|
| 電圧精度 | 印加電圧の設定後、測定時にリアルタイム補正 | 印加電圧の設定のみ |
| 湿度制御 | 外部生成→内部供給で安定 (試験槽外に蒸気発生層があるため温度湿度分布が良い) | 試験槽内に装置がある場合、ばらつき大 |
| 測定スピード | 1秒未満の高速サンプリング | 数分単位の測定の場合、劣化の瞬間を捉えにくい |
| 多チャンネル対応 | PC1台あたり最大256ch | モデルによる制限 |
大型のHAST試験装置を選ぶことで、従来サイズの試験装置では難しい試験を効率的に行えます。しかし、実際の評価においては「どの製品にどの装置が適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定の視点も重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。
大型のHAST試験装置の役割を理解することで、適切な試験環境を構築するための判断精度が上がります。あわせて当然ですが、実際の評価においては「どの製品にどの装置が適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった機種選定も重要です。
「自社の製品にとって、どんな試験をどんな装置で実施すればよいのか?」といった具体的な検討でお困りではありませんか?
マイグレーション試験では、試験対象によって求められる印加電圧の条件が大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品などでは数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧に対応した耐圧評価が必要です。
このような背景から、当サイトでは試験機の選定において「印加電圧の大きさ」を判断軸としてマイグレーション試験と試験槽をご紹介しています。具体的には、低電圧試験に強みを持つ、IMVの試験機と平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせ、また高電圧に強みを持つESPECの試験機と試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。
現在、マイグレーション試験機の導入を検討されている方は、ぜひ当サイトのトップページ(下記リンク先)をチェックしてみてください。なお各社は受託試験も行っているため、導入前にまずは受託試験サービスを試してから検討することも可能です。
最適なマイグレーション試験機・試験槽を見つけるヒントに!
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |