HAST試験の精度を高めるために、前処理(プリコンディショニング)を行うことがあります。本記事では、前処理の目的や方法、注意点などを解説します。
HAST試験の前処理とは、製品を評価する前に実際の実装工程や使用・保管環境などを模擬するため、吸湿やリフローなどの処理を行うことです。ここでは、HAST試験の前処理の目的と方法について解説します。
HAST試験の対象物となる電子部品や半導体は、常温や乾燥した状態のまま使用されるとは限りません。例えば、基板に実装するリフローはんだの工程では、260℃前後の高温にさらされます。また、工場での保管中には、空気中の水分を吸湿するリスクがあります。
吸湿した状態で高温のリフロー炉を通ると、内部の水分が急激に気化・膨張し、パッケージのひび割れや剥離を引き起こしかねません。こうした実装工程の熱ストレスや保管環境の影響を考慮せずにHAST試験を行った場合、市場での実際の故障リスクと異なる結果になる恐れがあります。前処理の目的は、実装工程や使用・保管環境などを正確に模擬して、試験の精度と信頼性を高めることです。
前処理の主な方法は以下の通りです。一般的には、対象物を評価する前に以下の3つの工程を順番に実施します。
具体的な前処理の時間や温度などの条件は、HAST試験の対象物や適用される規格などにより異なります。
対象となる製品の要件に合わせて、業界団体が定める試験の規格に従って前処理を行いましょう。例えば、半導体全般の基本規格であるJEDEC(J-STD-020)や自動車用集積回路(車載用IC)を対象とする信頼性規格AEC-Q100に基づいたHAST試験では、規格に則った前処理が求められます。デバイスの吸湿感度レベルに応じた適切な規格を選択することが重要です。
リフロー処理における温度プロファイルの設定は、HAST試験の結果に影響を与えます。単に熱を加えるだけでなく、予熱やピーク温度などを規格通りにトレースしなければなりません。
温度プロファイルモニターを用いた温度管理や窒素ガス充填による酸素濃度コントロールで高温域における端子の酸化を抑制するなど、適切な設備環境で実施することが大切です。
試験を急ぐあまり必要な前処理を省いたり、条件を緩和したりすると、実装工程や使用・保管環境を正しく模擬できないため、HAST試験自体の信頼性が低下します。業界団体が定める規格条件を勝手に変更すると、市場での不具合リスクを評価しにくくなるため注意が必要です。重要性を理解したうえで、前処理を適切に実施しましょう。
HAST試験の前処理は、ベーキング処理やリフロー処理などにより、実装工程や使用・保管環境を模擬する取り組みです。HAST試験の精度を高めるために、実装後の状態や実際の使用環境を再現する準備工程になります。したがって、工程を省略したり、条件を変更したりせず、前処理を適切に実施することが大切です。製品の対象となる規格やリフロー処理の設定に注意する必要もあります。
フィードバック機能で実際のサンプル電圧をリアルタイム補正し、設定値と実際の印加電圧のズレを最小化します。
絶縁抵抗10⁵〜10¹⁴Ωまでカバーし、微小なリーク電流も正確に検出して信頼性の高い評価を実現します。
100°C超+高圧環境を作れるHAST装置との連携で、過酷条件を再現し、通常の何分の一もの時間で評価が可能です。
PC1台で最大256chまで拡張可能で、複数サンプルの一括試験による効率化と比較評価が容易になります。
たとえば、通常1,000時間かかる耐久評価を500時間以下に短縮可能。開発スピードを加速させ、思わぬ故障も未然に防ぎます。
また平山製作所のHAST装置の高絶縁抵抗を測定するための対策(特殊カバーやノイズ 対策)が、IMVの試験機が持つ高精度な測定性能を最大限に活かし、マイグレーションによる微小なリーク電流も正確に検出できるようになります。
※下記図は一例です。

| 項目 | 当社 IMV(+平山製HAST) |
他社 |
|---|---|---|
| 電圧精度 | 印加電圧の設定後、測定時にリアルタイム補正 | 印加電圧の設定のみ |
| 湿度制御 | 外部生成→内部供給で安定 (試験槽外に蒸気発生層があるため温度湿度分布が良い) | 試験槽内に装置がある場合、ばらつき大 |
| 測定スピード | 1秒未満の高速サンプリング | 数分単位の測定の場合、劣化の瞬間を捉えにくい |
| 多チャンネル対応 | PC1台あたり最大256ch | モデルによる制限 |
HAST試験の前処理を行うことで、試験の精度を高めることができます。しかし、実際の評価においては「どの製品にどの試験方法が適しているか」「どの試験装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった試験方法や装置の選定も重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。
HAST試験における前処理について理解することで、製品を評価する精度が高まります。あわせて、実際の評価においては「どの製品にどの試験方法が適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった試験方法や装置の選定も重要です。
「自社の製品にとって、どんな試験をどんな装置で実施すればよいのか?」といった具体的な検討でお困りではありませんか?
マイグレーション試験では、試験対象によって求められる印加電圧の条件が大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品などでは数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧に対応した耐圧評価が必要です。
このような背景から、当サイトでは試験機の選定において「印加電圧の大きさ」を判断軸としてマイグレーション試験と試験槽をご紹介しています。具体的には、低電圧試験に強みを持つ、IMVの試験機と平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせ、また高電圧に強みを持つESPECの試験機と試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。
現在、マイグレーション試験機の導入を検討されている方は、ぜひ当サイトのトップページ(下記リンク先)をチェックしてみてください。なお各社は受託試験も行っているため、導入前にまずは受託試験サービスを試してから検討することも可能です。
最適なマイグレーション試験機・試験槽を見つけるヒントに!
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |