パワーデバイスは、電気自動車や鉄道、太陽光発電などに利用されている半導体です。製品の信頼性を評価するために、HAST試験が実施されています。ここでは、パワーデバイスがHAST試験を必要とする理由やHAST試験のポイントを解説します。
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの普及を受けて、インバーターの高効率化などに用いられるパワーデバイスの需要が高まっています。同時に、製品の信頼性に対する要求も厳しくなっています。
パワーデバイスのトラブルは製品全体のシステム停止や重大な事故に関わるため、出荷前にHAST試験を実施して耐湿性や絶縁性を評価しておく必要があります。HAST試験は、高温・高湿環境で電圧をかけて老化プロセスを加速させ、短時間で製品の信頼性を評価する試験であり、パワーデバイスを含む半導体全般で用いられています。
パワーデバイスが高温・高湿の環境にさらされたときに発生する主なリスクは、以下の通りです。
HAST試験を実施することで、こうしたパワーデバイス特有の劣化状況の推移を確認し、潜在的な弱点を洗い出すことができます。
HAST試験装置によって、安全に対応できる印加電圧の上限は異なります。MOSFETやIGBTなどのパワーデバイスは非常に高い電圧を扱うため、一般的な半導体向けの装置ではなく、1,000V〜2,000Vクラスの高電圧印加に対応した装置が求められます。
自社で装置を導入する場合も、外部の試験施設に依頼する場合も、評価したいデバイスの要求電圧をカバーできる環境を選択することが重要です。
試験条件は、対象となるデバイスや用途に応じて業界規格に従って設定します。パワーデバイスの評価において代表的な規格は以下の通りです。
これらの規格に基づき、「温度110±2℃」「相対湿度85±5%RH」などの高温高湿条件を設定します。
パワーデバイス特有の注意点として、高電圧を印加した際の自己発熱が挙げられます。
デバイス自身が発熱すると表面の湿度が下がり、正しい耐湿性の評価ができなくなるため、発熱を考慮した条件設定のノウハウが求められます。
HAST試験中にリアルタイムでモニタリングすると、劣化状況の推移を把握できます。「いつ・どのように劣化したか」を確認できる点がメリットです。また、試験条件やセンサーなどの異常を早期に発見し、トラブルに素早く対応することも可能になります。
HAST試験を受託している施設や装置メーカーの中には、さまざまなカスタマイズに対応しているところがあります。パワーデバイスは形状や要求される耐圧が多様なため、標準的なテスト基板や治具では放電が起きてしまい、うまく評価ができないケースも少なくありません。
一般的なHAST試験の範囲で評価が難しい製品の場合は、専用治具の作成や規格外の特殊な印加電圧・温度域へのカスタマイズを相談できる委託先を選定しましょう。
パワーデバイスのHAST試験は、高温・高湿環境で電圧を加えて劣化を加速させ、製品の信頼性を評価する試験です。高温・高湿環境下では絶縁リーク電流増加などのリスクがあるため、HAST試験を実施して耐湿性や絶縁性を評価することが大切です。HAST試験の装置や委託先を選定する場合は、試験条件やモニタリング、カスタマイズなどに注意しましょう。
フィードバック機能で実際のサンプル電圧をリアルタイム補正し、設定値と実際の印加電圧のズレを最小化します。
絶縁抵抗10⁵〜10¹⁴Ωまでカバーし、微小なリーク電流も正確に検出して信頼性の高い評価を実現します。
100°C超+高圧環境を作れるHAST装置との連携で、過酷条件を再現し、通常の何分の一もの時間で評価が可能です。
PC1台で最大256chまで拡張可能で、複数サンプルの一括試験による効率化と比較評価が容易になります。
たとえば、通常1,000時間かかる耐久評価を500時間以下に短縮可能。開発スピードを加速させ、思わぬ故障も未然に防ぎます。
また平山製作所のHAST装置の高絶縁抵抗を測定するための対策(特殊カバーやノイズ 対策)が、IMVの試験機が持つ高精度な測定性能を最大限に活かし、マイグレーションによる微小なリーク電流も正確に検出できるようになります。
※下記図は一例です。

| 項目 | 当社 IMV(+平山製HAST) |
他社 |
|---|---|---|
| 電圧精度 | 印加電圧の設定後、測定時にリアルタイム補正 | 印加電圧の設定のみ |
| 湿度制御 | 外部生成→内部供給で安定 (試験槽外に蒸気発生層があるため温度湿度分布が良い) | 試験槽内に装置がある場合、ばらつき大 |
| 測定スピード | 1秒未満の高速サンプリング | 数分単位の測定の場合、劣化の瞬間を捉えにくい |
| 多チャンネル対応 | PC1台あたり最大256ch | モデルによる制限 |
HAST試験を実施することで、パワーデバイスを使用する製品の信頼性を評価できます。しかし、実際の評価においては「どの製品にどの試験方法が適しているか」「どの試験装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった試験方法や装置の選定も重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。
パワーデバイスのHAST試験では、劣化状況の確認や潜在的な弱点の洗い出しなどが可能です。あわせて、実際の評価においては「どの製品にどの試験方法が適しているか」「どの装置を使えば適切な試験条件を満たせるのか」といった試験方法や装置の選定も重要です。
「自社の製品にとって、どんな試験をどんな装置で実施すればよいのか?」といった具体的な検討でお困りではありませんか?
マイグレーション試験では、試験対象によって求められる印加電圧の条件が大きく異なります。たとえば、狭ピッチのプリント基板や微小電子部品などでは数V~数十Vの繊細な電圧制御が求められる一方で、EV部品などのパワーデバイスでは数千Vの高電圧に対応した耐圧評価が必要です。
このような背景から、当サイトでは試験機の選定において「印加電圧の大きさ」を判断軸としてマイグレーション試験と試験槽をご紹介しています。具体的には、低電圧試験に強みを持つ、IMVの試験機と平山製作所の試験槽(HAST装置)の組み合わせ、また高電圧に強みを持つESPECの試験機と試験槽(HAST装置)を比較し、それぞれの特長や活用シーンを整理しています。
現在、マイグレーション試験機の導入を検討されている方は、ぜひ当サイトのトップページ(下記リンク先)をチェックしてみてください。なお各社は受託試験も行っているため、導入前にまずは受託試験サービスを試してから検討することも可能です。
最適なマイグレーション試験機・試験槽を見つけるヒントに!
印加電圧の違いによって求められる試験環境は大きく異なります。ここでは、対象物に合った試験を強みとする受託試験会社を、2社ピックアップしてご紹介します。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |

引用元:ESPEC公式サイト
https://www.espec.co.jp/products/measure-semicon/25kv/

| 印加電圧設定 | 2.5kV |
|---|---|
| 試験所数 | 国内6拠点 |