プリント基板は高密度化・狭ピッチ化が進み、配線間やスルーホール間の絶縁距離はますます狭くなっています。湿度の影響で絶縁性能が低下すると回路のショートや誤動作につながるため、湿度による劣化を短期間で再現できるHAST試験が評価に活用されています。本記事では、プリント基板にHAST試験が必要な理由と、実施する際のポイントを解説します。
電子機器の小型化にともない、プリント基板の配線やスルーホールの間隔は狭くなり続けています。絶縁距離が狭くなるほど、わずかな水分や汚染でも配線間の絶縁抵抗が低下しやすくなり、イオンマイグレーションによるショートのリスクが高まります。
特に部品を実装した基板では、はんだ接合部やフラックス残渣、部品と基板の隙間に残る水分などの影響が加わり、素基板の状態とは異なる挙動を示すことがあります。設計や材料の見直しだけでは判断しきれないため、実際の基板に湿度と電圧のストレスをかけて確認する評価が必要です。
プリント基板の耐湿絶縁性の評価では85℃85%RHの高温高湿バイアス試験が広く使われていますが、1,000時間規模の試験時間が必要になることも多く、開発スケジュールに収まらない場合があります。
HAST試験は温度・湿度に加えて気圧を高めることで水分の浸入を加速させる試験で、130℃85%RHのような条件を設定できます。IEC 60068-2-66およびJIS C 60068-2-66の不飽和加圧蒸気試験として規定されており、同等の劣化を従来の高温高湿試験より短い時間で再現できる点が特徴です。試作を何度も繰り返す開発段階では、この時間差が大きな意味を持ちます。
素基板で評価するのか、部品を実装した基板で評価するのかを最初に決めることが重要です。素基板では、櫛形パターンやスルーホール間のパターンを備えた評価用のテストクーポンを使い、材料や表面処理そのものの耐湿性を切り分けて確認できます。
一方、実装基板ではんだ接合部やフラックス残渣、部品下の狭い隙間を含めて評価すれば、製品に近い状態での絶縁信頼性を確認できます。確認したい不具合がどこで起こるかによって、対象を選び分けましょう。
HAST試験では温度・湿度に加えて気圧の設定が評価の性格を決めます。加圧によって水分の浸入が進みやすくなるため、同じ劣化を短い時間で再現できます。確認したい絶縁劣化を再現できる条件になっているかを見極めることが重要です。
たとえば試験時間の短縮だけを目的に条件を厳しくしすぎると、基板材料の吸湿による変化が先に現れ、本来確認したい配線間の絶縁劣化を評価しにくくなることがあります。評価したい故障現象に合わせて条件を設計しましょう。判断の材料として85℃85%RH試験との違いを押さえておくと、条件を決めやすくなります。印加電圧については、基板の回路電圧に合わせた設定が必要になるため、PCB設計におけるイオンマイグレーション対策のポイントもあわせて確認してみてください。
プリント基板の絶縁抵抗は良品であれば非常に高く、劣化の兆候は微小なリーク電流の変化として現れます。そのため、高抵抗領域まで測定でき、微小な電流を検出できる計測性能が求められます。
また、加圧された試験槽の中まで配線を引き込むため、試料端に設定どおりの電圧が届いているかも確認したいポイントです。試料側の電圧をリアルタイムに検知して補正できる装置であれば、狙った条件のまま評価を進められます。複数のパターンをまとめて評価する場合は、同時に測定できるチャンネル数も判断軸になります。
中心となるのは試験中の絶縁抵抗の推移です。試験前後の測定だけでなく、試験中に連続して測定することで、いつどのように抵抗が低下したのかを把握できます。
試験後はパターン間のデンドライトの析出や、内層のガラス繊維に沿って銅が成長するCAF(導電性アノードフィラメント)の有無を観察します。CAFにはIPC-TM-650 2.6.25のような専用の試験方法も用意されているため、HAST試験による加速評価とあわせて活用しましょう。
プリント基板のHAST試験について解説しました。絶縁距離が狭くなるなか、湿度による絶縁劣化を短期間で確認できるHAST試験は、開発スピードを落とさずに信頼性を確かめる手段として役立ちます。効果を引き出すには、素基板か実装基板か、どの条件で評価するのかを整理したうえで、設定した条件を正確に再現でき、微小なリーク電流まで検出できる装置を選ぶことが欠かせません。
プリント基板の信頼性評価では、HAST試験によって高温・高湿環境における絶縁性能を確認することが重要です。実際の評価においては「どのような試験条件が適しているか」「どの試験装置を使えば適切な条件を満たせるのか」といった試験方法や装置の選定も重要になります。
当サイトのトップページでは、印加電圧の大きさや用途に応じてマイグレーション試験機を紹介。信頼性評価の設計段階で考慮すべき試験方式や機種の特徴、選定時のチェックポイントもわかりやすく整理しています。

引用元:IMV公式サイト
https://www.landingpage-synergy.com/k4yeiagc/

| 印加電圧設定 | 1.0V~250V |
|---|---|
| 試験所数 | 日本国内7・海外3拠点 |